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杏
( あんず )
膨るるを極め尽くさむ花杏
(ふくるるをきはめつくさむはなあんず)
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アンズ
インターネットの みんなの花図鑑 によりますと
アンズ
[杏]
学名
Prunus ameniaca
分類
バラ科 サクラ属
開花時期
3~4月
花の色
ピンク
名前の読み
あんず
分布
原産地は中国の北部
生育地
栽培
植物のタイプ
樹木
大きさ・高さ
5~10メートル
花言葉
はにかみ
花の特徴
葉の展開に先立って花を咲かせる。
花の色は淡い紅色で、花びらは5枚である。
花びらの形は丸い。
萼は紅紫色で反り返る。
葉の特徴
葉は幅の広い楕円形で、互い違いに生える ( 互生 ) 。
葉の先は短く尖り、縁には不揃いな細かいぎざぎざ ( 鋸歯 ) がある。
実の特徴
結実期は6月ごろである。
実は直径3センチくらいの球形の核果 ( 水分を多く含み中に種が1つある ) で、黄橙色に熟する。果実はジャムや乾果物として食用にされる。
この花について
ウメと似ているが、樹形が直立していることや、樹皮に縦の筋が入ること、また萼片が反り返ることなどで区別できる。
その他
日本には奈良時代に伝えられたと言われ、万葉集にも唐桃の名で登場する。
耐寒性があり、長野県や青森県で栽培されている。
英名のアプリコット ( Apricot ) としても知られている。
種子には青酸配糖体や脂肪油、ステロイドなどが含まれており、杏仁 ( きょうにん ) と呼ばれる咳止めの生薬
となる。
漢字では 「 杏子 」 とも書く。
俳句では、「 杏子 」 が夏の季語、「 杏子の花 」 が春の季語である。
属名の Prunus は 「 plum = スモモ 」 を意味する。
種小名の ameniaca は 「 杏色の 」 という意味である。
旨、解説されています。
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この径や何処へ続く花杏
(このみちやいづくへつづくはなあんず)
注・
「いづく」とは古語で、不定称の代名詞。どこ。どちら。の意で
上代では「いづく」だけが用いられ、中古以後は「いづく」「いづこ」が併用された。
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日向の玄界遙けし花杏
(ひむかひのげんかいはるけしはなあんず)
注・それぞれ古語で
「ひむかひ」とは、西。西の方。
「はるけし」とは、(空間的に)非常に遠い。はるかである。
の意
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画像の最も下の左に、玄界灘がかすかに写っています。
杏咲く上空一機のジェット便
(あんずさくじょうくういっきのジェットびん)
本句の第二案は
杏咲く空にジェットの機影あり
です。
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俳句上
蔵書の 歳時記・草木花・春 によりますと
季語
杏の花
(あんずのはな)
花杏 ( はなあんず ) からももの花 ( はな )
アンズの花 バラ科
アンズは中国北部原産とされる落葉高木で、高さ5メートル前後になる。中国では食用や薬用として4千~5千年前から栽培されていたという。日本への渡来時期は不明だが、古くは加良毛毛 ( からもも ) とよばれ、平安時代の文献に記載が見られることから、そのころには薬用として杏仁が渡来し、栽培もされていたとみなされている。
曲亭馬琴編・藍亭青藍補 「 増補俳諧歳時記 栞草 ( しおりぐさ ) 」 には 「 杏花 ( あんずのはな ) 」 として 「 和名 加良毛毛 ( からもも ) 〔 大和本草 〕 其花うるはし、唐音を呼てアンズと云、一種花紅にして八重あるなり
・・・・・・其木ひくき時花を見るによし、長じては切べし」 とある。アンズとよばれるようなったのは、この江戸時代からのようだ。
花はウメより遅く、モモよりは少し早い時期に咲く。5弁で雄しべがきれいに張り、ウメの花によく似てやや大きめ、花弁はごく淡い紅色だが、がくが濃い紅色なので、花のころ遠くから見ると、枝がよく伸びた木全体がほんのり紅色がかり、穏やかな感じである。分類的にはウメやスモモに近く、互いに雑種ができることが知られている。
果実が杏子 ( あんず ) で、夏の季語、日本で改良したアンズは酸味が強く、ジャムなどの加工用としては優れているが、生食用には欧米の乾燥地で改良された品種の方が適している。
旨、解説されています。
快晴や杏市場の大盛況
(かいせいやあんずいちばのだいせいきゃう)
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晴れ晴れし宙に杏の花多少
(はればれしちうにあんずのはなたせう)
注・それぞれ古語で
「はればれし(形シク)」とは、
①よく晴れ渡っている。
②気分が晴れやかである。
③表だっている。晴れがましい。
④派手で豪華である。
本句では終止形を用い切れ字とし「や」の効果を持たせました。
解釈は読者任せとさせていただきます。
「ちう」とは、空。虚空。空中。
「たせう」とは、多い。の意で、「少」に意味なし。
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本ブログの画像は、全て先月(3月)17日、福津市の「あんずの里」にて撮影したものです。
ご完読ありがとうございました。
梨雨