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世界遺産・北九州エリア(Ⅰ)-旧八幡製鐵本事務所-兼北九州市の近代化遺産ⅩⅢ-今日の一景(347)-八幡東区・東田

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今日の一景
(347)

花譜の館・別館」へようこそ。

ユネスコ
世界文化遺産
2015年7月5日登録

産業遺産群
[明治・日本の産業革命遺産、製鉄・製鋼、造船、石炭産業]
北九州エリア
官営八幡製鐵所関連施設

北九州市
近代化遺産
ⅩⅢ

八幡製鐵
本 事 務 所


今も猶守るは冬の四海
(いまもなほまぶるはふゆのよものうみ)
[注・それぞれ古語で
「まぶる」とは見つめる。「よものうみ」とは世界。の意]


イメージ 1


北九州市のホームページ
によりますと

   平成27年7月5日に世界遺産登録が決定した「明治日本の産業革命遺産 製鐵・製鋼、造船、石炭産業」。北九州からは、1901年に創業した官営八幡製鐵所の関連施設4つがその構成資産となっています。
   官営八幡製鐵所の関連施設は(指定を受けた3つ)、製鐵所の構内に立地していることから現在一般には公開されていませんが、平成27年4月17日に、構成資産のひとつである旧本事務所 ( 1899年竣工 ) を眺望できるスペースを整備しました。ぜひ、世紀を超えた産業景観をご覧ください。

旨、解説されています。
注・同じく製鐵所関連施設の、「遠賀川水源地ポンプ室外観」は中間市にありますが、
北九州エリア
とみなしております。
また内部は公開されていません。

早速、私は昨日午前中に、列車を使ってスペースワールド駅で降り、歩いてこの眺望スペースに着きました。
午後から晴れの予報が出ており、雲が退くまで待つことにしましたが、
低いところの雲は立ち去らず、薄曇りの中、旧本事務所を撮影することにしました。
残念ながら修繕工場は見えず、ゆずかに旧鍛冶工場のドームが見えるだけでした。

眺望スペースに設置している
パネル
「旧本事務所」の解説文を
をまず撮影しました。


イメージ 3




イメージ 2


1912年(明治45年)当時

イメージ 4



この旧本事務所は、北九州市指定の近代化遺産でもあります。

蔵書の

北九州の近代化遺産
弦書房

によりますと

39
製鐵所本事務所
(旧本事務所)
所在地
八幡東区大字尾倉
竣工年次
1900
(明治33)
建築様式
煉瓦造2階建
建築主
農商務省所管製鉄所
設計者
不詳
施行業者
八幡製鐵所
(直営)


  官営八幡製鐵所の本事務所として建設されたこの建物を見ると、当時、一大国花プロジェクトとの事務所にしては意外と小規模 ( 約延べ1000平方メートル ) な感じを受ける。高級官僚であった長官室にしても約25平方メートル ( 7.5 坪 ) しかない。もちろん、工場規模に合わせて設定されたものであろうが、22年後 ( 1922 〈 大正11年 〉 には約8倍の広さにリプレ-スされていることからして、はたしてその規模設定の経緯はいかがなものであったのかと興味が湧いてくる。

海に向かう玄関
  とはいえ、この建物からいろいろな意図が伝わってくる。まず一つにその立地である。現在は市街地から一番離れた構内の奥に位置しているが、当時は華やかな賑わいの若松市街地を洞海湾を挟んで臨み、まさに横に向って開かれた事務所であった。隣接する高見山と称した松林にはお雇い外国人を含む高級職員の官舎もあり、職住接近の先例も示していた。若松などに居住していた一部の職員は前面にある船着場から出退勤を行っていたという記述もある。当時の事情から考えて記録に出てくる下関での宴会など、今ではなぜと思うことも頷ける。海に向けての玄関も理解できる。一方、陸地からは、工場が東西軸であることから事務所も同様にとなり、東側敷地境界近くの門から斜め前方に事務所を望む、数百メートルの直線アプローチであった。制服姿の乃木大将や東郷元帥が玄関前で撮った記念写真があるが、彼らはどのルートでやってきたのであろうか。

設計者は
   2つ目の意図はその建物設計にある。設計者は不明であるが、1897 ( 明治32 ) 年3月「従山口五位工学博士 山口半六 製鐵所建築取調ヲ嘱託ス」、1899 ( 明治32 ) 年12月山口半六嘱託ヲ解ク」という文書が八幡製鐵所に残されている。このことから彼が何らかの形で関与した可能性が考えられる。山口はフランスに留学し、帰国後に文部省に入り、第五高等中学校本館 ( 現熊本大学、重文 ) などの作品を残した。彼の作品は 「 いずれもシンプルな煉瓦の館であり、わずかに石材や白化粧煉瓦を使用した帯や窓台がアクセントとなっている。しかし、主屋と翼部のバランスも、窓の割付やプロポーションも的確で均整がとれている。洗練された、しかも優しい堅実性を備えた秀作である 」 と評価されており、本事務所はよく一致しているように思われる。となると製鐵所は農商務省の管轄であり、なぜ文部省に関係した建築家を嘱託としたのか疑問である。ともあれ当時の著名な建築家に依頼したその心意気は感じられる。もし山口半六の設計となれば、彼は数年後には病没していることから、まさに晩年の作品となり、まだ公表されていない貴重な事実となるかもしれない。

小規模ながら威厳のある装飾
   建物に言及すると、梁間15.57メートル×桁行き32.74メートル×軒高10.4メートル、延べ面積1023平方メートルの赤煉瓦造総2階建て、中央にドームを持つ左右対称形の建物である。車寄せから鋳物格子の玄関扉を開けるとホールがあり、その左右が中廊下で前方は階段という典型的なタイプで、1階は東側突き当りの長官室をはじめとして、経理部などの事務部門、2階は技監室、外国人助手室等の技術部門となっている。その中で、会議室などの天井には漆喰による蛇腹の装飾が施され威厳を保っていた ( 現在は剥落して見ることはできない ) 屋根は和瓦、小屋組みはクイーンポストトラス、煉瓦積みはイギリス式である。基礎は煉瓦のアーチで先端に松杭を打設していることもあり不同沈下も見られず、赤煉瓦の鮮やかな色とともに当時の外観を留めている。

旨、解説されています。


今年(2015年)8月9日に見かけた、北九州市庁舎の世界遺産登録を奉祝する
看板を撮影しました。


イメージ 5



イメージ 6



眺望スペースのパネルによりますと


イメージ 7




製鐵所構内
(現新日鉄住金)
旧本事務所
旧鍛冶工場
修繕工場
中間市
遠賀川水源地ポンプ室外観

となっています。
①、②、③、は北九州市で、中間市の④も併せて北九州エリアとよんでいます。

樹木の左にドームの灰色の鍛冶工場がちらりと見えます。右手が旧本事務所です。

イメージ 8



ここで旧本事務所の背景の空が晴れるのを待っている時
親しく話し合ったボランティアの初老の男性が
私に聞かせた川柳がとてもおもしろかったので、許可を得て登載することにしました。


今を見て昔を語り未来を想う

町ガイド見て来たような嘘を言い

ありがとうございました。


眺望スペースの状況

イメージ 9


5、6の市庁舎の看板以外は昨日(19日)この眺望スペースにて撮影したものです。
ご完読まことにありがとうございました。
梨雨


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