今日の一景
(237)
「花譜の館・別館」へようこそ。
四季の風景
春
桜草
(さくらそう)
事問へば薦むは今日の桜草
(こととへばすすむはけふのさくらさう)
[注・それぞれ古語で、「こととふ」とは話しかける。尋ねる、質問する。
「すすむ」とは推薦する。の意]
本句の口語調は
尋ねれば今日の一推し桜草
(たずねればきょうのいちおしさくらそう)
です
1
サクラソウ
蔵書の 草木花・歳時記・春 によりますと
季語
桜草
(さくらそう) (さくらさう)
サクラソウ サクラソウ科
我国は草もさくらを咲にけり
とは一茶の句だが、サクラに似た花の形や色ばえから名づけられた。その可憐な花ゆえに、江戸時代の中ごろから武蔵野の野生株をもとにさかんに栽培され、多彩な花色や花形の変わりものが生まれた。今では500~700もの園芸品種が作出されている。
一方、自生地のほうは、乱獲や開発に見舞われて全国的に急激に減少し、絶滅が心配される絶滅危惧Ⅱ類となった。国の天然記念物に指定されている埼玉県浦和市の田島ヶ原の保護地ですら、開発による群落の寸断がたたり、花粉媒介昆虫の消滅によって衰退している。
山中の湿った明るい林や原野に群生する多年草。高さ15~40センチで、地下茎を伸ばしてふえ、葉はすべて根ぎわから出る。4~6月ごろ、7~20個の花が花茎の先につく。北海道南部、本州、四国、九州むのほかシベリア東部や中国東北部に分布する。 < 清水健美 >
と説明されています。
一筆啓上窓辺に置く桜草
(いっぴつけいじゃうまどべにおくさくらさう)
[注・「いっぴつけいじゃう」とは古語で、男子が手紙のはじめに用いる慣用語
「まどべ」とはまどのあたり、そば。の意]
2
忙中閑あり園生の桜草
(ぼうちゅうかんありそのふのさくらさう)
注・「ぼうちゅうかんあり」とは、忙しいさなかにもわずかな暇はあるものだ。
[「そのふ」とは古語で、、野菜・果樹・草花などを植えるひと囲いの場所。庭。の意]
3
なお、この花や題目を日本桜草(にほんさくらそう)としたかったのですが、
まだ若く、花数も少なくドーム形になっておらず、確定できませんでした。
しかし、サクラソウ属 (プリムラ属) には違いなく、俳句上の桜草 (さくらそう) とさせていただき、
確定しないため、サクラソウ (日本桜草) の詳細な説明は割愛させていただきました。
この花がドーム形になることを祈らむばかりです。
山塔梨雨
ご完読ありがとうございました。
梨雨