今日の一景
(324)
「花譜の館・別館」へようこそ。
四季の風景
秋
後の月
(のちのつき)
こと
十三夜
(じゅうさんや)
後の月独り眺むる仮の宿
(のちのつきひとりながむるかりのやど)
1
後の月
(のちのつき)
蔵書の 現代歳時記・金子兜太・黒田杏子・夏石番矢 編 によりますと
季語
後の月
(のちのつき)
十三夜
(じふさんや)
栗名月
(くりめいげつ)
豆名月
(まめめいげつ)
陰暦9月13日の月。名月に対する後の月のことである。名月の時と同じように枝豆、栗、薩摩芋などを供える。名月の頃とは気候も変わり、月の印象もまた別である。
例句
十三夜月をめがけてオートバイ 尾田秀三郎
天安門掃かれてありし十三夜 黒田杏子
後の月機関車一両だけ走る 田中啓介
父母の生かされてきて後の月 山口恭徳
口紅を塗り立ち上がり後の月 中岡毅雄
旨、解説されいています。
今年の「後の月」は陽暦10月25日の夜で、煌々と照っていました。
この2日分、十五夜から欠けた月を愛でるのは、日本人だけの感性です。
完全よりも、不完全
満開よりも、半開を
泥酔よりも、ほろ酔いを
一番よりも、二番を
愛すことに繋がるものと思います。
奥床しき、日本の心でしょう。
全たきよりあはれ一つの十三夜
(まったきよりあはれひとつのじふさんや)
注・それぞれ古語で、「まったし」とは完全。「あわれ」とは魅力。情感。
「ひとつ」とはいっぱい。の意
2
ご完読ありがうございました。
梨雨