今日の一景
(285)
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四季の風景
秋
朝顔
(あさがお)
前編
朝顔に園生の一日祈りけり
(あさがほにそのふのひとひいのりけり)
[注・「そのふ」とは古語で、庭園。の意]
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アサガオ
俳句上
蔵書の 草木花・歳時記・秋 によりますと
季語
朝顔
(あさがお) (あさがほ)
朝顔の実
アサガオ ヒルガオ科
朝顔の名は 『 万葉集 』 や 『 源氏物語 』 『 枕草子 』 などに出てくる。どれも秋の花なのだが、その時代の朝顔は現在のアサガオではなく、キキョウやムクゲなどとされる。しかしこれらの説は 『 枕草子 』 にはあてはまらない。「 草の花は 」 ナデシコ、オミナエシ、キキョウ、を挙げているからキキョウではないし、ムクゲは草ではない。同じ段の 「 夕顔は花の形も朝顔に似て 」 にも会わない。( ユウガオはウリ科で花冠が深く5裂する ) のである。古代における朝顔の実態はともかく、秋の花とするのは文芸上の伝統である。
アサガオは奈良時代の末、中国から 「 牽牛 」 の名で渡来したが、中尾佐助によれば 「薬用としは衰え、鑑賞用の花卉となって生き残った 」 。江戸時代に改良が進み、大輪アサガオや花色、花形、葉形の多様な変化アサガオが生み出された。東京・入谷の鬼子母神の朝顔市 ( 7月6日から8日までは ) いまも賑わう。
東南アジア原産とされる蔓性の1年草で、花は朝開いて春には萎む。葉は3裂して先が尖り、対生。朝顔の実は3室に分かれ各室に2個ずつ種子ができる。種子を漢方で牽午子 ( けんごし ) といい、下剤や利尿剤とする。丸葉で房咲きになる熱帯アメリカ原産のマルバアサガオもよく見かける。朝顔蒔くは春、朝顔苗、朝顔市は夏の季語。
と解説されています。
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朝顔を玻璃先に見る立礼席
(あさがほをはりさきにみるりゅうれいせき)
[注・「はり」とは古語で、ガラス。の意]
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朝顔や枝折り戸抜くる風和し
(あさがほやしをりどぬくるかぜにこし)
[注・それぞれ古語で、
「しをりど」とは竹または木の枝などでつくった、簡単な開き戸
「にこし」とは古語で、やわらかいの意]
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梨雨