蔵出しの花
(1)
杜若
(かきつばた)
凛たるや朝のしじまの杜若
(りんたるやあさのしじまのかきつばた)
[注・
「りん」とは氷の触れたようにぴりっと身が引き締まる感じをいう。
「しじま」とは森閑としていること。静寂。
の意]
1
カキツバタ
蔵書の 草木花・歳時記・夏 によりますと
季語
杜若
(かきつばた)
燕子花
(かきつばた)
カキツバタ アヤメ科
5~6月ごろ、流れのふちや湿原を埋めつくして一面に紫色の花を咲かせる。とくに水深10センチぐらいのところが好きなようだ。庭園にもさかんに植えられているし、愛知県刈谷 ( かりや ) 市の自生地や京都市上賀茂 ( かみがも ) の大田神社の境内など、天然記念物に指定されている群落もある。
杜若衣に摺りつけ大夫の きそひ猟する月は来にけり
(かきつばたころもにすりつけますらをのきそひかりするつきはきにけり)
大伴家持
アヤメ科のなかでは最も古くから親しまれてきた花で、『万葉集』には七首が詠まれ、花を図案化した花燕子花紋 ( はなかきつばたもん ) 、花や茎葉を題材にした枝燕子花紋 ( えだかきつばたもん ) も作られた。
名前の由来については、かつて染色に使ったという「掻付花 ( かきつけばな { 書付花 } ) 」 説、垣の下に咲くとする意の「垣津花 ( かきつばな) 」 説、カッコウが泣く季節に花が見られるという意の「カッコウバナ」が転じたとする説などがある。中国名は燕子花または平葉鳶尾。日本でも燕子花あるいは杜若と書くが、杜若は中国ではツユクサ科のヤブミョウガを指す。
高さ40~70センチの多年草。葉は幅2~3センチ。花は直径10センチほどで、葉より少し高い茎の頂部に3、4個ずつ咲くが、1日でしおれる。外花被片 ( がいかひへん ) は大きく垂れ、基礎中央に白っぽい黄色の線状紋があるのが特徴。
北海道から九州までのほか、朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部に自生する。また近年、中国南西部・雲南省の高山湿地でも発見され、研究者の話題をよんでいる。
旨解説されています。
2
3
湿原の噂となるや燕子花
(しつげんのうはさとなるやかきつばた)
4
なお
1、2は本年5月10日
3、4は本年5月25日
白野江植物公園の湿性園にて撮影したものです。
ご完読ありがとうございました。
梨雨