今日の一景
(182)
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四季の風景
秋~冬
柿
(かき)
柿の秋人影なくして鳥の声
(かきのあきひとかげなくしてとりのこゑ)
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カキ
蔵書の 草木花・薩時期・秋 によりますと
季語
柿
(かき)
熟柿(じゅくし) 甘柿(あまがき) 渋柿(しぶがき)
さわし柿 干柿 吊る柿(つるしがき) 子守柿(こもりがき) 柿の秋
カキのキ カキノキ科
「柿の秋」という季語があるように、抜けるような青空の下に柿がみのる風景は、まさに日本の秋の象徴である。鮮やかな柿色には、その再現に腐心したという陶工柿右衛門の話などを思う。
甘柿と渋柿があり、厳密ではないが甘柿は温暖な地方、渋柿は冷涼な地方のイメージを伴う。甘柿には[富裕(ふゆう)] [次郎(じろう)] などがあり、渋柿は [合図身不知(あいずみしらず)] [蜂屋(はちや)] などの品種が好物である。柿の渋味は水溶性のタンニンで、渋抜きはこれを水溶性にする。さわし柿はアルコールや炭酸を与え、干柿は皮をむいて日光に当てる。熟柿は木の上で完熟させたのもである。軒下に干し干し連ねた吊し柿には乾いた清浄な空気に射す太陽の光を感じ、木の先に残された木守柿には人の思いが込められている。
カキノキには日本自生説と中国からの渡来説がある。縄文時代はおろか弥生時代の遺跡からも発掘の報告はないが、古くから北海道を除く全国で栽培され、すっかり日本の果物となっている。青柿(夏の季語)は未熟な果実で食べられないが、日に日に太る期待と、途中で落ちる不安を抱かせる。柿若葉(かきわかば)、柿の花は夏、柿紅葉(かきもみじ)は秋、柿落葉(かきおちば)は冬の季語。 < 鈴木俊作 >
と説明されています。
荒ら屋に住む人無きに木守柿
(あばらやにすむひとなきにこもりがき)
[注・「あばらや」とは古語で、荒れ果てた家、の意]
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この街は柿の木ばかりや迷ひ入る
(このまちはかきのきばかりやまよひいる)
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ご完読ありがとうございました。
(梨雨)